明るい風営法(ルクス的に)とダンス事情
バーカウンターで、仲のいいバーテンダーと一緒にテキーラをあおっていると、ビッチがこう言ってくる。
「すみません、ライター借りてもいいですか。」
無言でライターを渡す。
「ありがとね。」
ちょっとツンツンしてる感じ。そして、その女はそのままそこでフロアをながめながら無表情でタバコを吸っている。
完全に酔っ払っている以上、この女と会話を始めなきゃいけなくなる。
そして、数分後にはフロアで女の腰に手をまわして踊っているのだ。
なんてことは、ちょっと下品なクラブではよくある風景だと思う。
確かにこういう種類の踊りは、客観的に見てあまり健全とは言いづらいかもしれない。
だが、ただ純粋に音楽を聴きにきて、好きな曲が流れて、思わず体を動かしたくなる人もいっぱいいるのがクラブだ。
昨年、風営法違反を問われていた大阪の某クラブに無罪判決がくだったというニュースを見たときは、「よしよし」という気持ちになった。
クラブ経営者たちが風営法と戦う姿をけっこう間近で見たこともある。基本的には私は警察組織や法律に対してガキくさい文句を垂れようとは思わないが、『風営法』、これだけはまさにファックバビロン!としか言いようがない。
風営法の中身を細かく知っているわけじゃないけど、ようするに、無許可で客に『享楽的』なダンスをさせる店がダメなのだ。
風営法が定めるダンスがどういうものかっていう議論になるのだが、これが滑稽すぎる。
『男女の享楽的雰囲気の醸成など、社会の風俗に影響を及ぼす可能性があると社会通年上認められる舞踏』なのだが・・・。
リズムをとるだけならセーフ。腰をくねらせるのも、まぁよし。でも、DJブースに向かってステップを踏むのは、アウトぉぉぉぉぉ!らしい。客たちが、左右に1メートルくらいの幅でステップを踏む動きをしていたら、お店は摘発の対象だとさ・・・。
こんな議論を大の大人たちが裁判所でやっちゃってるんですよ。なにかの冗談ですよね。
私が若い頃は、クラブに私服警官が紛れ込んでたりしたけど、そいつも酒飲んで踊ってたぞ。そのときみんなライブで私服警官をいじり倒してたぞ。
そもそも、こういうダンスって戦後の日本のカルチャーのひとつでもあるんじゃないのかね。学校教育の中にダンス授業が取り入れられて、体育教師にはダンスを教える義務もあるんだよね?
これはおかしい。学校の授業でダンスに触れて面白いなぁと感じたキッズたちが、地元のダンススクールに通う。夜中に商店街のショーウィンドウを鏡代わりにして必死にフリを合わせていく。で、上手くなったらやっぱり現場のフロアでクールなステップをガッツリ見せつけたくなる。
はいアウトぉぉぉぉぉ!ですよ。
しかも、ダンサーじゃなくたって左右1メートルの幅でステップ踏む奴はいっぱいいるんだぞ。
本日、ダンス営業の規制を緩和する改正風俗営業法が参院本会議で可決、成立し、近く公布されるらしい。
読売新聞によると、「若者らが暗い室内で大音量の音楽に合わせて踊るクラブについて、店内の明るさが一般的に映画館で上映前後に客を誘導する際の照明である10ルクスを超えるなどの条件を満たせば、公布から1年以内に終夜営業が可能になる」。
結局ルクスの問題なのかよ(笑)
とりあえずこれまで5ルクス超で午前0時までの営業が許可されていたクラブが、10ルクスを超えるなどの条件を満たせば午前6時までオッケーということみたいだ。
あと気になるのが、この改正法で、「一部のダンス教室が規制から外れ自由に教室を開くことができるようになる」とあるけど、ダンス教室も規制されてたのか・・・。
でも規制緩和ならきっとこれは喜ばしいことなんでしょう。
中国では逆に先日、大人気の『広場ダンス』が規制されるとのニュースがあった。
サラっとしか情報を見ていないけど、どうやらこういう流れのようだ。
中国の景気が良くなる
↓
家庭にも余裕が出てくる
↓
共働きする必要がなくなる
↓
嫁が暇になる
↓
とりあえず体動かしますか
↓
ならみんなで集まってダンスしますか
↓
おばちゃんたちが広場で好き勝手ダンスする
↓
『広場ダンス』が流行る
↓
一億人もの人々の趣味になる(やっぱ規模が違いますね・・・)
↓
『広場』付近の住民がイラっとし始める
↓
もめる(近所の住民がダンスするおばちゃんたちにウン○とかを投げつける始末)
↓
社会問題になる
↓
さらに集団や集会をほっとくとそこに思想が生まれてカルトチックになる危険性もあるという見解へ
↓
政府が規制する
たぶんこんな感じです。
この問題への政府の対応策が意味分からない。
この流れを見ると、『集まること』に一番の問題があるのでは?と思うのだが、なんとなんと、政府はダンスの内容を規制したのだ。
踊るなら指定の曲で、指定の振り付けで踊れと(笑)
うん、よけい気味悪いですよね。よけいウン○投げつけたくなりますよね。
この対策は果たして有効なのだろうか。ちなみに、この指定曲や指定の振り付けは強制ではなく指導のレベルみたいなんだが。なかなか理解に苦しむ。
踊ってる本人たちに「あらやだ、なんか踊るのつまんなくなってきたわね」なんて思わせるのが狙いなんだろうか・・・。
個人的には、集まってダンスしたい人の気持ちも分かるし、そいつらにイラっとする立場も分かる。でも、政府の意図が分からない(笑)
これは両サイドから批判されるだけなんじゃないかな。
だって、ダンスする『時間』とか『場所』をしっかり規制するなら分かるけど、ご丁寧に振り付けまで用意してダンスの『中身』を規制してるんだもの。不思議です。
日本にしろ、中国にしろ、国家レベルでダンスといものがひっかかってくるということは、やっぱりダンスには何か裏に隠れた社会的なテーマがあるんだろうなとは思う。
ダンスの表が『娯楽』とか『スポーツ』とか『表現』とかだとしたら、裏は『宗教』とか『セックス』とか『軍隊』とか、そんな感じなんですかね。
ダンスはダンスだと思いますけど・・・(笑)