コンピュータに支配されたくない! 「くらえぇぇぇ!カクナラズ!!!」
もともと将棋のルールぐらいは知ってますよ~という程度だったんだけど、なんだか奥が深そうだなと興味を持ったタイミングがあって、少しだけ掘り下げてます。
子供の頃に実際に将棋を指したこともあるし、勝った(勝たせてもらった?)こともある。でも戦術に関する基礎知識はなくて、まず大きく分けると居飛車と振り飛車があるという大前提さえも知らなかった。
ということで、初歩的な序盤の定跡とか、簡単な手筋を少し見ていってます。と言っても脳みそが若くはないのでなかなか覚えられませんがね。
将棋のゲーム性そのものをディグっていると、自然に将棋業界についての情報も入ってくるわけで、それもなかなか面白い。
プロ棋士に変な人が多かったり、可愛い女流棋士がいたり。なんというか、いでたちはめちゃくちゃおしとやかなのに負けん気が強すぎてあふれ出てしまっている感じ(笑)
そういう女性も魅力があっていいですね。これは女流棋士というジャンル特有の女性像な気もする。
最近もプロがトーナメントの上の方で二歩をやらかしたり。将棋の対局の歴史とか、妙手とか、そういうものもちょっと知るとこれまた面白いです。
どうやら将棋の世界にもトレンドとかがあって、常に戦略の評価は塗り替えられているみたいだし。
あとは、音楽業界や出版業界と同じように、この業界にもまた「アナログとデジタル」というテーマがあるのが興味深い。
ご存じの方も多いと思いますが、最近では電王戦というものがあって、プロ棋士とコンピュータが激戦を繰り広げている。
現代はいろいろな業界において、テクノロジーを駆使してデータのトラッキングと分析でより精度の高い予測を生み出すという作業をしていますが、将棋界も同様に多くの棋譜の記録をコンピュータに突っ込んで計算させるわけですな。
人間とコンピュータの思考のプロセスは違うと思いますが、こういうある意味で数学的なゲームに関してはコンピュータはかなり強いだろうなとは思います。
人工知能の中でも特に機械学習という分野に焦点が当たっている時代。将棋ソフトもプロ棋士にとっては末恐ろしい存在なんじゃないかなと。
とはいえ、おそらくまだまだ発展途上なので弱点はある。先日行われた電王戦で永瀬六段がSeleneに対して指した一手が話題になった。
将棋は相手の陣地の三段目に入ると成ることができる。素人の目から見ても、桂や銀であれば成らないメリットもあるけど、角が成らないことのメリットはないように思える。ところがどっこい、永瀬六段は角で不成(ならず)という選択をしたんです。
このあり得ない一手をコンピュータは認識できず人間の勝ちとなりました。
これは単純にコンピュータが対応してなかったという感じだと思うけど、そこを悪びれずにピンポイントで突く人間の野蛮さというか狡猾さというか、これが面白いところだった。
対局前に対局相手であるソフトを研究する期間が設けられているようで、認識できないバグ(?)についても事前に分かっていたこと。永瀬六段も会見でこの角不成の一手に対する想いを述べていたが、実際にプロがこの一手を指したことに対する将棋ファンの評価は賛否両論あるようだ。
なにはともあれ、これが公の場で起こった出来事だから、多くの将棋ソフトはこの点に対応していくでしょう。これでまた人間が一歩コンピュータを進化させたわけです。ジレンマとでも言いましょうか。
まぁでも、コンピュータがなかなか踏み込めない領域というのもあるはず。
なんか言葉では言い表しにくいけど、モヤっとした部分をモヤっとしたまま理解できるのが人間な気がします。直観とか、そういう部分かな。笑いのツボの根拠を説明しろと言われてもできないみたいな。ちょっと違うかな(笑)
結局は「センスvsデータ」みたいなところなのかな。とにかく、局面をどう感じてどんな一手を選択するかという勝負、これを人間とコンピュータがそれぞれの威信をかけて繰り広げてるわけです。
先日、テレビで羽生さんとチェスの世界王者の対談の番組がやっていたので観ました。
まさに天才同士!会話に無駄がない。
以前、宇宙飛行士が宇宙船の中から中継している様子をテレビで観たことがあって、限られた時間内にこっちが知りたいことを一方的に簡潔にすべて言ってくれてる感がすごかった。こいつ頭良すぎだろと思いましたね。
そのときと同じくらい言葉のスマートさを感じました。
その番組内で羽生さんが語った言葉でひとつすごくドキっとしたことがあった。
コンピュータの評価の数値(将棋ソフトにも優勢・劣勢の評価値があります)と、それに左右される人間の行動のリスクについてかな。
例えば、コンピュータがあるひとつの事項に関して、
選択肢A=40% 選択肢B=60%
と評価した場合、それを100人の人間が実際の行動の判断材料にすると、
選択肢A=40人 選択肢B=60人
にはならないのだ。
むしろ、
選択肢A=1人 選択肢B=99人
とか
選択肢A=0人 選択肢B=100人
とかになってしまうのではないだろうかと。
誰だって40%よりは60%の信頼度の方を選びたくなる。
つまり、コンピュータが緩やかな割合の評価を下したとしても、現実には極端な結果を生み出してしまうかもしれないというリスクのことを言っているのだと思う。
これは単純なことを言っているようでひじょーーーに大事なことのような気がする。
番組内ではほんの一瞬の扱いだったけど、なんかドキドキさせる言葉だった。これをさらと言ってしまう羽生さんの思考回路というか感覚の鋭さ。
人間とコンピュータの関係についてはいろいろな分野で期待されていると同時に危険視もされているけど、ターミネーターやマトリックスの世界にだけはなってほしくないです(笑)
そしてコンピュータが私に1%の評価を下したとしても、どこかの誰かが私をチョイスしてくれることを願う!